お肌のおはなし「乾燥肌」

――「月刊 おとなりさん」12月号(1999.12発行)より転載――

肥後尚孝

今回は乾燥肌についてお話しましょう。これからの季節は空気が乾燥して、乾燥肌の症状がさらに目立ってきます。この冬を快適に過ごせるように参考になると嬉しいです。

乾燥肌とは専門の用語で乾皮症あるいは皮脂欠乏症と言います。皮脂欠乏症とは読んで字の如く、皮膚の脂が減ることにより皮膚の水分が減少して、乾燥を生じてしまう病気です。

中高年者のすねや腰によくみられ、皮膚がカサカサしてはがれ落ちたり、ひび割れたりします。さらに進むとかゆみを伴い、掻くと悪化して湿疹になったりします。空気が乾燥し始める秋から冬にかけてはじまり、真冬になると症状はひどくなり、夏には良くなりますが、毎年くり返すことが多いです。

どういう人がなりやすいかというと、症状に違いはありますが、誰でも年をとってくると皮膚の乾燥を生じてきます。女性の方が男性よりやや早い年代から起こってくるようです。軽い皮脂欠乏症は病気というより自然な変化(老化というと納得しない人もいますが?)と言えるかもしれません。(原因)皮膚のうるおいは皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質等で一定に保たれていますが、加齢などが原因でこれらの物質が減ると、皮膚がひどく乾燥します。又、空気の乾燥とか、入浴の習慣なども原因の一つと考えられます。乾燥肌のスキンケアのポイントをあげましょう。

(1)お部屋の乾燥に注意。加湿器などを使ってお部屋の湿度を保ちましょう。

(2)ゴシゴシ洗わない。入浴時に、ナイロンタオル等で皮脂を取りすぎないように、自分の手で洗うのが一番です。それでも乾燥する人はすねや腰は石鹸の使用は控えると良いでしょう。

(3)刺激の少ない肌着に。ラクダの肌着など直に着て皮膚を刺激するとかゆみがひどくなるので、肌着は肌に優しい木綿製が良いです。

(4)アルコールは控えめに。アルコールや香辛料などの刺激物をとりすぎると、身体が温まりかゆみがひどくなります。電気毛布やこたつなども身体が温まるので気を付けましょう。

(5)掻かないことが大切。掻くと症状がひどくなり湿疹化してきます。爪は短く切ってなるべく掻かないようにしましょう。

(治療)塗り薬を上手に使いましょう。乾燥肌には保湿剤。かゆみがあったり湿疹化している時は、かゆみを抑える塗り薬を使います。保湿剤は入浴後が有効的で、お風呂で皮膚に十分に水分が含まれた後、あまり時間を置かずに塗って下さい。自分の皮膚の状態にはどの塗り薬がよいのか、分からない方は気軽にご相談下さい。