15. お肌のおはなし「かぶれ」

--「月刊 おとなりさん」11月号(2000.11発行)より転載--

肥後尚孝

 今回はかぶれの話です。正式な病名は接触性皮膚炎といい、外から何かしらの物質が皮膚に触れて皮膚炎をおこした状態です。接触性皮膚炎は大きく分けて刺激性とアレルギー性に分けられます。

 刺激性とは誰にでも起こりうるかぶれで、代表例として消毒薬によるものがあります。ひどい場合は火傷のようになり痛みを伴う場合もありますが、反面、患者さんも原因に気が付きやすいようです。

 それに対して気を付けないといけないかぶれは、アレルギー性接触皮膚炎です。これは最初は平気でも、繰り返しの接触で症状が出てきます。患者さんにすれば今まで平気だったから違うだろうと思っている物質が、実はかぶれの原因ということが多いのです。似た例をあげますと、花粉症は生まれつき花粉にアレルギーという人はいません。ある時、患者さんの身体で花粉を「特別なもの」と認識した時に突然、花粉症になるのです。一度なると、毎年その時期に(花粉に触れると)症状が出ます。このようにかぶれた物質は、すでにその人の身体では「特別なもの」と認識されたことになり、以降は同じものに触れるたびに、繰り返し皮膚炎がおこります。

 それではどういう物でアレルギー性接触皮膚炎が起こりうるか代表例をあげましょう。
 植物 − うるし、いちょう(ぎんなん)、サクラ草、菊、マンゴーなど。以前はウルシや銀杏かぶれの患者さんが多かったのですが、最近はガーデニングブームもあってサクラソウのかぶれが増加しています。
 金属 − アクセサリー、めがね、時計、ベルトのバックルなど。金属は普段は平気でも、汗をかくと症状が出やすくなります。したがって同じネックレスでも夏はかぶれて冬は無症状という患者さんもいます。

 その他、ゴムやビニール、革製品、化粧品、染毛剤など原因は多岐にわたります。ですから、化粧品など今まで何年も使用していて平気だったから今後も大丈夫とは限らず、一応疑って見た方が無難です。

 かぶれは原因さえ分かれば、その物質との接触を避けることで防ぐことが可能なため、しっかりと原因を追究しましょう。確かめる方法としてパッチテストという検査法があります。具体的には疑わしい物質をワセリンなどに溶かし、それを腕や背中に2日間貼り続け、2日目と3日目に貼った場所の反応を観察し、その物質がかぶれの原因か否かを判定します。元々ヨーロッパ北部で開発された検査で、検査期間中は汗をかくような運動や入浴は出来ませんから、日本の夏場には向きません。しかしかぶれの原因を突き止める唯一の確実な検査法です。

 自分には何が合わないのかをしっかり確認することは、逆に言えば何が大丈夫なのかを知ることにもなります。化粧品やアクセサリー、あるいは園芸を快適に楽しむためにも少しでもかぶれを疑う症状が出てきたら、皮膚科専門医にご相談下さい。