お肌のおはなし「アトピー性皮膚炎(1)」

――「月刊 おとなりさん」9月号(2000.09発行)より転載――

肥後尚孝

 今回はアトピー性皮膚炎の話をしましょう。

 アトピー性皮膚炎とは、遺伝的な体質(アレルギー体質・アトピー体質)に環境要因が引き金となって、慢性的に湿疹をくり返す病気です。つまり、アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は生まれついて非常に敏感なのです。そのため、少しの刺激が加わっても簡単に炎症が起こってしまいます。このような遺伝的な体質がアトピー性皮膚炎の患者さんの背景にあるので、炎症を起こすような刺激を減らしたり、症状が軽いうちに対処してこじれさせないようにして、病気を上手にコントロールすることが大変重要になってきます。

 アトピー性皮膚炎を上手にコントロールするには、(1)基本はスキンケア。(2)次に薬による治療。この二つが重要なポイントになります。

 アトピー性皮膚炎の皮膚は、バリアが弱くなった「ドライスキン(乾燥肌)=敏感肌」になっています。このドライスキンの状態を改善するにはスキンケアが重要になります。また、皮膚に刺激を与えないためには、ライフスタイルの改善も重要になります。
まずスキンケアですが、これは清潔と保湿のことです。入浴で皮膚を清潔にしましょう。汗やほこりやあるいは垢やフケは皮膚を刺激するので、石けんやシャンプーを使って、こすらずに体を洗いましょう。また、洗った後は、よくすすいで、石けんやシャンプーが残らないようにしましょう。お湯を熱くしたり長湯は、皮膚を刺激するためかゆみを増やすので、ぬるめのお湯にさっとつかるようにしましょう。

 次に保湿ですが、入浴後は皮膚の保湿をはかりましょう。洗った後の皮膚は、水分が蒸発しやすい状態で、どんどん乾燥してしまいます。ですから、風呂上りや洗顔後は外用薬や保湿剤を塗って乾燥を防いで下さい。この清潔と保湿がワンセットになってはじめてスキンケアが完成します。

 ライフスタイルの改善について。衣類は刺激の少ないものを選びましょう。皮膚に直接触れる衣類(特に肌着)は、表面の肌触りの良い、皮膚への刺激の少ない綿などを選びましょう。また、洗濯した衣類に洗剤が残っていると、それが刺激になるかもしれないので、すすぎを十分に行いましょう。また、室内の湿度にも注意しましょう。夏は汗をかくことで症状が悪化することがあるので、除湿を上手く行いなるべく快適な環境で汗をかかないようにしましょう。冬は乾燥しやすいので、加湿器を使い室内の湿度にも気を使いましょう。

 次回はアトピー性皮膚炎の治療面についてお話ししましょう。