お肌のおはなし「イボ(疣贅ゆうぜい)について」

――「月刊 おとなりさん」1月号(2001.01発行)より転載――

肥後尚孝

イボには大きく分けて2種類あります。一つはウィルスによるイボで、もう一つは加齢(老化)で出来るイボです。

ウィルス性のイボには何種類かありますが、共通していることは放っておくと移って数が増えたり、大きくなったりすることです。代表的なのは手足などによくみられるいわゆる『イボ』で、正式には尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)といいます。足の裏に出来るとタコやウオノメと勘違いして放っておく人が多いようですが、タコやウオノメと違って体重の掛からないところにも出来ますし、時間と共に数が増え大きくなっていきます。治療に関しては残念ながら今のところ飲み薬や塗り薬では治りません。液体窒素で凍らせて取るという治療法が一番確実な方法ですが出来ている部位や大きさによっては治療に数カ月と時間がかかることもあります。特に足の裏など皮膚の厚い、固い部位に出来ると治療に時間がかかります。

また、ウイルスで出来るイボで青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)というのがあります。これは割と小型のイボで主に若い女性の顔や手に多発します。このイボはいずれは自然に消失するのですが、長期間にわたる場合が少なくありません。ただし、消える前に赤くなりかゆくなるというサインがあるようです。液体窒素でも取れないことはないのですが、顔の小さいイボだと逆にしみが残ってしまう可能性もありますので、医師と治療法を相談しながら気長に治療する必要があります。

一方、加齢で出来るイボは、正式には脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)あるいは老人性疣贅といい、他人に移ったりはしませんが、皮膚の老化と共に数が増えることがあります。これは白髪の数が増えるのと同じと思って下さい(笑)。放置しても悪性化することはまずありませんが、治療するとなるとやはり薬では治りません。切除したり、先のウイルスによるイボと同様に液体窒素で凍らせたりして治します。

また、首の回りやわきなどにできる小さいイボはアクロコルドン、スキンタッグ、軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)などと呼ばれており、紫外線や加齢による皮膚の老化です。大きさや形によっては液体窒素を使わずにその場で簡単に取ることもできます。気になる場合にはご相談下さい。