お肌のおはなし 「水虫」
――「月刊 おとなりさん」6月号(2000.06発行)より転載――
肥後尚孝
今回は水虫の話をしましよう。
温かくなるにつれて足がむずむずしてきている方はいないでしょうか?水虫は治るんです。それでは、水虫について順に説明していきましょう。
水虫とは皮膚科的には足白癖といい白癖菌という真菌(カビ)が原因でなります。カビですから適当な温度があったり湿った所に繁殖しやすくなり、皮膚の表面の角層で増えます。したがって、靴を履きっぱなしでムレやすくなる夏は、水虫の現れやすい季節になります。
一口に水虫と言っても色々な型があり、おそらく皆さんがイメージされているのは、足の指の間や足の裏に出来る、皮がむけてかゆさを感じやすいタイプだと思います。
一方皆さんが水虫とは思えないのに実は水虫というタイプもあります。それはかかとを中心に皮が厚く固くなっていくもので、多くの場合かゆみがありません。冬にはひび割れることもあり、アカギレと思いこんでいる人も多いようです。
それでは水虫を治すためにはどうしたらよいでしょうか?
- まず、本当に水虫かどうか調べる。同じ様な症状でも湿疹やかぶれのこともあります。区別するためには病院で皮膚の角層を採り顕微鏡でカビが実際にいるかチェックしてもらいましょう。
- カビは湿っていて栄養(垢や汚れ)があるところが大好きです。ですから治療するには、その逆の環境にする事が大事です。お風呂では指の間までしっかりと洗い、靴下は汗を吸収する通気性の良いものにして、靴を履いている時間もなるべく短くしましょう。
- スリッパや足拭きマットなどから移ることもあります。カビが足に付いてもすぐには移りませんが、2日間ぐらいそのままにしておくと移りやすくなります。ですから家族内に水虫の人がいるときは、同じに治療していく必要があります。また、銭湯やスポーツクラブなどから帰った時には足だけはもう一度洗うようにしましょう。
- 日本の場合、夏は高温多湿になるので、水虫が活発になりかゆみを感じやすいですが、冬になると眠った様な状態になり一時的に症状が落ち着きます。でも、カビが無くなっているわけではなく、条件さえ整えばまた復活します。ですから、見た目もきれいになってからも1~2ヶ月は塗り続ける必要があります。
また、水虫は足以外にも伝染する事があります。体にうつると「たむし」股にできると「いんきんたむし」と呼ばれます。こんな時はその部分だけでなく、足の水虫もちゃんと治療することが大事です。
最近は難治の爪の水虫などに対して新しい内服薬(飲み薬)が出てきて治療の選択肢が増えてきています。しかし、良く効く内服薬でも治療には数ヶ月かかることがあります。水虫の治療のポイントは「根気よく」です。必ず治りますのでがんばりましょう。