お肌のおはなし「まき爪」

――「月刊 おとなりさん」3月号(2000.03発行)より転載――

肥後尚孝

 今回はまき爪の話をしましょう。皆さんが良く聞くまき爪とは、ほとんどの場合皮膚科的には陥入爪というものを指しています。本来のまき爪は爪が筒状に丸まってしまう状態で、陥入爪とは爪の先端の両側が皮膚に食い込んでしまって、腫れたり痛くなったりします。

 原因はサイズの合わない靴やハイヒールを履いたり、スポーツで指先に力が加わったりという機械的な刺激の場合もあるのですが、最も多い原因は深爪です。深爪をする人は最初は爪の角があたって痛いので、その部分の爪を斜めに切ってしまうことが多いようです。そのときは一時的にあたる物がなくなるので痛みが取れるのですが、実はこの深爪が長い目で見ると陥入爪をもたらすことになります。

 つまり、深爪をすることによって切りきれずに残った爪が刺のようになり、さらに外側の皮膚に食い込んでいくことにより、痛みのためさらに深爪をしてしまうという悪循環が起こります。

 では、どのような爪の切り方が良いのでしょうか?それは爪を切る時に、まっすぐに切ることです。このことをスクエアカットと言います。爪の先端の角は斜めに切らないで下さい。こうすることによって爪の角の部分が食い込むのが防げます。(下図)

 軽症の方はこのように爪の切り方を工夫することで、陥入爪の進行を止めることができます。しかし、もうすでにかなり爪が食い込んでしまって角を伸ばしたくても痛くて伸ば
せない人は、手術が必要になります。手術と聞くと、かなり痛いのではないか?入院が必要なのではないか?術後は歩けないのではないか?などと心配になるかもしれません。確かに以前の方法ではそのようなことがありましたが、現在は術後もあまり痛くなく歩け入
浴も可能で、入院する必要のない方法があります。部分フェノール法というやり方で、この方法なら手術時間も局所麻酔がかかってしまえば、数分から十数分で終わります。ただし比較的新しい方法なのですべての医者ができるわけではありません。まき爪で悩んでいて、医療機関の受診を考えている人は、そこがどのような方法で治療しているのかを受診前に確認してみましょう。